代理店の運用担当者にとって、週次レポートは「やらなければならないが、本来の仕事ではない」作業の最たるものです。1社分でも重いのに、クライアントが5社・10社と増えれば、月曜の午前がまるごとレポート作業で消える週も珍しくありません。
この記事の結論を先に述べます。
週次レポート業務を仕組み化するには、「データ収集」「比較・整形」「所見・改善案の記述」の3工程のうち最初の2つを自動化し、担当者が担う工程を「判断と修正」に絞り込むことが鍵です。Claude+MCPの組み合わせはその実現に適しており、複数クライアント×複数媒体の構造でも1つの接続でまとめて扱えます。
代理店の週次レポート業務を3工程で分解する
まず現状の業務フローを整理します。代理店での週次レポートは、おおむね以下の3工程で構成されています。
工程1: データ収集・整形
各媒体の管理画面を開いて期間を指定し、数字をエクスポートする。それをスプレッドシートに貼り付けて、媒体ごとに異なる列名・単位・指標の定義を統一フォーマットに整える。
クライアントが複数の場合は「この流れを社数分繰り返す」ことになります。媒体が2つ・クライアントが5社なら、単純計算でこの工程だけで10回発生します。
工程2: 前週・前月との比較計算
増減率を算出し、どこが改善でどこが悪化かを確認する。数字の意味を読み解く前に、計算と確認の手間が先に来ます。
工程3: 所見・改善案の記述
クライアントへの報告コメントを書く工程です。本来ここが付加価値を出せる場所ですが、工程1・2で時間と集中力を使い切った状態で書くことになりがちです。
仕組み化の本質は、工程1・2を担当者の手から切り離すことです。 工程3の「判断と記述」に集中できる環境をつくれば、レポートの質と速度は同時に上がります。
なぜ手集計の「仕組み化」が難しかったか
スプレッドシートへの自動連携や、スクリプトでのデータ取得を試みた担当者は多いはずです。それでも定着しなかった理由として、次の3つがよく挙がります。
媒体ごとにAPI仕様が異なる Meta・Yahoo!・TikTokはそれぞれAPIの認証方式・エンドポイント・レスポンス形式が異なります。3媒体を横断する集計基盤を自前で構築するには、相応の技術コストがかかります。
API仕様の変更への追従が必要 一度構築しても、媒体側のAPI仕様変更やトークン失効のたびに修正が発生します。本業である運用と並行してこの保守を続けるのは現実的ではありません。
「集計はできても、分析はできない」 スクリプトやスプレッドシートは数字を整えることはできますが、「なぜCPAが上がったのか」「どのクリエイティブが効いているのか」という分析は人間が行う必要があります。集計の自動化だけでは、工程3の負担は変わりません。
Claude+MCPで週次レポートを仕組み化する
MCP(Model Context Protocol)は、ClaudeのようなAIを外部データソースに接続するための規格です。HarubaseはMeta広告・Yahoo!広告・TikTok広告に対応したMCPサーバーで、これをClaudeに接続すると、工程1・2がほぼなくなります。
Claudeに話しかけると、Harubaseが広告APIにアクセスしてデータを取得し、Claudeが比較・整理した結果を返します。管理画面を開く必要がなく、スプレッドシートへの貼り付けも不要です。
仕組み化後の週次フローはこうなります。
仕組み化前のフロー(クライアント1社分)
管理画面を開く → 期間指定 → エクスポート → スプレッドシートに貼り付け → 整形 → 前週と比較計算 → 所見・改善案を記述
仕組み化後のフロー(クライアント複数社まとめて)
Claudeに定型プロンプトを投げる → データ付きの分析結果が返ってくる → 確認・修正してレポート完成
クライアントが複数でも、Harubaseには複数の広告アカウントを登録できます。「クライアントA(Yahoo!広告)とクライアントB(TikTok広告)を今週と先週で比べる」という問い合わせを1回行うだけで、アカウントをまたいでデータが返ってきます。
週次レポートを型化する:定型プロンプトの設計
仕組み化のもう一つの要は、毎週使い回せる定型プロンプトを設計することです。プロンプトが固定されていれば、担当者が変わっても同じ品質でレポートが出せます。
以下は実際に使えるプロンプトの例です(数値・アカウント名はダミーです)。
クライアント別の週次サマリーを出す
クライアントAのYahoo!広告(先週と今週)を比較して、主要指標(インプレッション・クリック数・CPC・CPA)の増減と、改善が必要な箇所を3点挙げてください。それぞれ短い改善案を添えてください。
複数クライアントを横断して優先度を確認する
今週、CPA悪化率が先週比15%以上になっているキャンペーンをアカウントをまたいで洗い出し、優先度の高い順にリストアップしてください。
クライアントへの報告コメントを生成する
クライアントAの今週の実績をもとに、週次報告用のコメント(200字程度)を作成してください。数字は具体的に記載し、来週への改善提案を1点含めてください。
媒体横断の効率比較
クライアントBのYahoo!広告とTikTok広告のCPAを並べて、配分を見直すべきかどうかを判断してください。(数値はダミー)
返ってきた下書きを確認・修正するだけでレポートが完成します。プロンプトをドキュメントに保存しておけば、誰でも同じフローを再現できます。
「仕組み化」と「自動化」の違いを整理する
混同されがちですが、この文脈での「仕組み化」は「完全無人化」とは異なります。
自動化: 人が関与せず処理が完結する(例: スクリプトが毎週月曜に自動実行されてSlackに投稿される)
仕組み化: 人が担う工程を最小化し、毎回同じ品質で再現できる型を整える(例: 定型プロンプトを投げて返ってきた下書きを確認・修正する)
Harubaseが実現するのは後者の「仕組み化」です。Claude(AI)はデータの収集・整形・比較・下書き生成を担い、担当者は判断と修正だけを行います。Harubaseは読み取り専用で、広告アカウントへの書き込みは一切行いません。広告の配信設定・入札・予算は変更されない設計です。
この「仕組み化」は、完全無人化より現実的であり、かつ担当者の判断が最終工程に残るため、クライアントへの品質保証にもなります。
導入の前提条件と注意点
Harubaseを週次レポートの仕組みに組み込む前に、確認すべき点を整理します。
対応している媒体
現時点でのHarubaseの対応媒体はMeta広告・Yahoo!広告・TikTok広告です。Google広告は順次対応を進めています。X広告は現時点で未対応です。
AI(Claude)の契約が必要
HarubaseはMCPサーバーです。利用にはClaudeやCursorなど、MCP対応のAIツールの契約が別途必要です。Harubaseの月額はデータ接続費用のみで、AIの利用料はお使いのAI契約に乗ります。
読み取り専用のため広告操作はできない
広告APIへのアクセスはGET(読み取り)のみです。入札の変更・予算の調整・広告の停止・再開といった操作はClaudeからは行えません。データを「見て・分析する」用途に特化しています。
初回の設定が必要
使い始めには、Harubaseへの登録・広告アカウントの連携・ClaudeへのMCP設定の追加という初期設定があります。設定自体はダッシュボードから案内に沿って行えます。詳しい手順は無料で広告データ分析を始める手順を参照してください。
プラン選択の目安
Harubaseには3つのプランがあります。
| プラン | 月額 | 目安 | |--------|------|------| | Free | ¥0 | まず試したい・1〜2アカウント程度 | | Lite | ¥5,000 | 数社のクライアントを持つ代理店 | | Pro | ¥9,800 | より多くのアカウントを横断で管理したい |
代理店で複数クライアントを抱えている場合は、Liteプランから始めて実際のレポート業務でどれだけ効くかを確認するのが現実的です。
まとめ:週次レポートの仕組み化に必要な3つのこと
週次レポート業務の仕組み化は、以下の3つで実現できます。
- データ収集・比較の工程をAIに移す — Claude+Harubaseで工程1・2を担当者の手から切り離す
- 毎週使い回せる定型プロンプトを設計する — 担当者・クライアントごとにテンプレートを用意して再現性を高める
- 担当者が「判断と修正」に集中できる型を整える — 下書きの確認・修正・クライアントへの文脈追加が最終工程になる
この型が定着すれば、クライアントが増えてもレポート工数が比例して膨らまなくなります。
広告レポートの時短・仕組み化のより一般的な考え方は広告レポート作成を時短する方法でも解説しています。Yahoo!広告の設定手順はYahoo!広告のレポートを楽にする方法・ClaudeでYahoo!広告のレポートを自動化する方法も参考にしてください。
まずは1アカウントで試す
週次レポートの仕組み化を始めるには、まず1媒体・1アカウントを接続してClaudeに話しかけてみるのが最短です。Harubaseは無料プランから登録できます。